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【SnapDishセミナーレポート】
元カゴメコミュニテイサイト立ち上げ担当者・水野氏に聞く、ファンコミュニティ成功の方程式
前半の基調講演動画はこちら>>https://corp.snapdish.jp/archiveapply20210421
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アーカイブ動画では非公開のセミナー後半戦!参加者の皆さんからいただいた質問へのQ&Aセッションを記事で限定公開!具体的、実践的なお話が多く登場するので、ぜひご一読下さい!
『&KAGOME 』でうまくいった施策は?
ヴァズ・阿部(以下、阿):前半の講演では、トマトの苗のプレゼントはすごく反応が良かったという事例をご紹介いただきましたが、具体的にすごくうまくいった、うまくいかなかった施策などあれば教えて下さい。
講師・水野さん(以下、水):トマト苗プレゼントと並んで人気だったのが、栃木県那須塩原市にある『カゴメ那須工場』での工場見学ツアーでした。国産のトマトジュースは、年に1回、夏に作るんですが、その時期に「今作っている今年のトマトジュースを体験してみて下さい!」という特別な工場見学ツアーをやってました。
『&KAGOME 』立ち上げの年から毎夏、4年間続けました。さとなおさんの本でも「那須塩原駅まで自腹で集まってくれる」と紹介いただきましたが、体験としてはとてもリッチなものになります。
工場見学ツアーは何百人も参加できるプログラムではないので、参加できない会員向けにライブ配信を行いました。「特別な物を他の誰かに」という繋がりを持たせたコンテンツとしても、うまくいったと思います。
工場見学以外では、等身大のカゴメを見せるために、インタビューに社員の実名顔出しで登場してもらって、商品の裏話や会社の取り組みを話してもらった記事も人気でしたね。
工場見学の特別な体験設計とは?
阿:工場見学はもともと一般の方向けに実施されていたんですか?それとも、コミュニティの体験作りとしてプログラムから設計されたんですか?
水:工場見学自体は、もともと一般向けやお取引様向けに実施されていました。ファン向けということで、一般のお客様向けとは違う特別なプログラムとして企画しました。
阿:僕らも好きに変わっていく瞬間のことを「特別な体験」と呼んでたりするんですが、やっぱりそういう接点を持った人は全然違いますか?
水:違うと思います!来た人はもちろんですし、来た人とサイト上でも接点が持てるような体験も特別なやりとりだと思います。
阿:そうですよね、リアルに参加できる人が少なければ、コンテンツやコミュニケーションとして使えるという二段構えにするのが重要そうですね。
水:ですね、なので事前にクイズ形式でお題を出しておいて、当日正解を発表して一緒に盛り上がる、みたいなことをしたこともあります。
阿:素晴らしい設計してますね~・・・!
うまくいかなかった施策は?
阿:言える範囲で、逆にうまくいかなかったことなんかは・・・もしあれば。
水:うまくいかなかったことはたくさんあります、記事を書いても反応がいまいちなんていっぱいありますし。
あと、毎月商品モニターを募集して立ち上げ期の会員集客をしていたんですが、その役割を終えたかなという時期からはトーンダウンしています。
阿:なるほど、それをうまくいかなかった例として挙げられた理由としては、プレゼント目当ての人が増えるからということですか?
水:そうですね。集客の方法はいろいろあると思うので、コミュニティの規模が目標に達したあとは、集客はプレゼント以外の方法のほうが好ましいと思いました。しかし、プレゼント目当てといっても意外と活発なまま残ってくれて、ファン化する人もいますよ。
KPI・NPSの活用方法は?
阿:次に具体的なKPIについては、すごくご質問が多くて、先程のお話から一歩踏み込んで定量指標と定性指標の両立について伺えますか?
水:「定性」の方では、しっかりマーケティングに使えてるかということです。ファンコミュニティをやったらヘビーユーザーが増えて、その人達の声が拾えているか、とか、ヘビーユーザーの方たちにしっかりと商品の価値を伝える機会を何回持ったかとか、マーケティングに使えていないと意味がないというのがひとつ。
で、もうひとつがNPSですね。NPSは毎年定点で調査してました。ベンチマーク方法はというと、検索するといろんな関連サイトで業種別のベンチマーク数値が出てくるんですが、意外と一般の人に聞くNPSスコアってすごく低いんですよ。
阿:低いですよね、マイナスが当たり前ですもんね。
水:ファンサイトのNPSスコアって段違いのもの凄い数値が出てきます。それを「ファンサイトが良かった」と言っていいかということですよね。なので、カゴメと他の接点がある人とのNPSスコアを比較していました。
阿:比較して差があった時に、なにかアクションにつなげるというのはありますか?
水:定点観測なので、前年よりも上がった下がったの理由は当然考えてました。あと、直接的なこととしては、NPSスコアで何点を付けた人の、他の設問のこれが良かった悪かったというのは、こういう影響があるというような相関関係は見たことがありますね。
NPS以外で、使っていた指標は?
阿:ちなみにNPS以外で使いやすかった指標はありますか?
水:最初、何万人集めないとお取り潰しと言われていたので(笑)初期は登録人数を追っていました。ある一定規模以上になった後にずっとウォッチしていたのは、サイトの活性化をアクション率で定義して、ログインだけただ見ている人ではなく、コメントしたり、いいねを押したり、投票に参加したりと何らかアクションをしている人数が何%を切らないように維持していこうという運営をしていました。
阿:それは「やってよかった」と手応えのある指標ってことですよね。
水:そうですね。一過性でドンと下がったとしても、またどこかで持ち直せばいいというのはありますけど、常態的に下がっていたら「これって飽きられてるかも」ということですよね。それは気にする必要があると思います。
ファンと非ファンの見抜き方
阿:これは先程も出ましたが、ファンの見抜き方についてはいかがでしょうか。
水:プレゼントから流入したけど、意外とアクションしてくれているので放っておいたという話ですね。あとは、やっていく中で休眠も出てくるので、休眠の掘り起こしというふうに考えていった方がいいですね。どうしても一定数は休眠していくというのはやむを得ないのかなと。
あと、プレゼントがあまり高価なものじゃないというのも有効です。例えば、『&KAGOMEプレゼント企画、ケチャップ1年分タダ!』よりも、ストーリー性のある「カゴメが長年作りたかったこだわりの野菜ジュース3本」のほうが好まれる。ものが目当ての人はだんだん離れていきますね。
コミュニティ運営の持続可能な体制とは?
阿:先程のお話では維持していくためにいろんな施策をされてたということでした。継続するのにどれくらいのパワーを割いてるとか、継続運営のノウハウは皆さん気になるところかと思いますが、ちなみにチーム人数や体制はどのくらいでされてたんですか?
水:社内体制としては、私はずっと片手間で、もう1名がメインで運営をしているんですが、その人も100%専任というわけではなく兼務でした。うまい具合に2人でやって、運営を外部委託して投稿監視や記事制作やWebアップは、お手伝いいただいたという運営体制ですね。
阿:外部のチームの力を借りながら、社内では重要なことに専念するということですね?
水:そうですね、こういうことがやりたいというのを社内でとりまとめて、マーケティング的に意義がある取り組みを考えていくのがカゴメ側の役割になります。
あとは継続性を持ってやれるかというのは、担当者ご自身が楽しんでやれるかというのが意外と大きかったりして。コミュニティ運営担当者の熱量を感じて、参加する会員の皆さんや、社内の協力者も一緒に盛り上がっていく、ということじゃないかと思いますね。
社内の巻き込みのコツは?
阿:担当自身が楽しいというのが出発点として大事という点、とても共感できました。ただ、社内を巻き込んでいかないとそれも続けられないじゃないですか、社内を巻き込んでいくコツ、売上につながる関連部署との連携するのに、心がけていたことってありますか?
水:追加資料で、これは『&KAGOME』で公開されているページを貼っているんですが、左の例はかなり初期2016年に新商品のケチャップを売るのに何かプロモーションしたいとなった時に『&KAGAGOME』で手伝った例です。担当者には、顔出ししてもらって、自分の声で商品の特徴を語ってもらってます。
中にはあまりプロモーション予算を持ってないマーケッターもいるので、アンケートの場や、露出の場を提供するとか、彼らにメリットがあることを提供していました。社内で浸透させたい時期は、いい商品があるって誰かに伝えたいけどお金がない、けど何かやりたい!という人たちを協力者にして、巻き込んでいきましたね。
そうすると徐々に、社内でも「これいいですね」と評価されるようになっていきました。
右側の例は経営陣を巻き込んで「共創の取り組みでサウンドロゴ作りました」という取り組みもしてみました。これで経営者にも『&KAGOME』の認知が広がっていきました。
阿:僕らもお聞きしてると、経営層にファンコミュニティの声が届くと、それで一気に加速するというお話は聞くので、社内巻き込みは上手にできるといいですよね。
水:社内のイベントの集客もよく買って出ました。各エリアのキャンペーンイベントの告知を、&KAGOME記事として掲載するんです。主にスーパーや百貨店など流通向けに『ここで告知してますよ』のようにお知らせできるのが商談の後押しになるとウケがよかったですね。
SNSとファンコミュニティの住み分けは?
阿:TiwitterやInstagramのようなオープンなSNSと、ファンとコミュニケーションする場所の役割分担について、前段の講演でおっしゃっていた以外で、意識していたことやSNSチームとの連携などありますか?
水:同じ部でやっていたので、情報の導線はしっかり作って、キャンペーンの情報をSNSに載せて『&KAGOME』でこう連携する、とか、意識してやっていました。
このご質問の意図は、SNSだけでファンコミュニティってできないの?って言うことだと思うんですね。個人的にはSNSでもできると思ってるんです、要は特定のIDのある人達同士がしっかり活性化して盛り上がればいい。双方向感というのが意外と大事なので、双方向で何か共感を高めるようなことができればSNSでもいいんじゃないかと思います。
あとはSNSで盛り上がったことが、自社のマーケティングに「声」として拾えてるかとか、UGCとして二次活用できるかとか、そういうことが課題として出てくると思いますけど、それが達成できればSNSをプラットフォームとしてファンコミュニティをするというのはできなくはないと思いますね。
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いかがでしたか?
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