スナップディッシュでは2021年9月28日に、DELISH KITCHENさんと共催で、セミナー開催と共同プランのリリースを行いました。セミナー内容を記事にまとめましたので、コロナ禍の料理トレンドや両メディアの事例、施策評価にご興味のある方は、ぜひご一読ください。
スナップディッシュ×DELISH KITCHEN共催セミナー
「食卓の新習慣をつくる、料理を通じたコミュニケーションの見つけ方」
■登壇者
株式会社エブリー ソリューション本部 チャネルセールス部 部長
川村 幸恵
新卒でジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社に入社。7年間医療機器の提案営業を行う。その後、株式会社グリーではマーケティング事業部で新規事業開発を担当、その後人事企画を経験。2016年エブリーに一人目の広告営業として入社後、現在はチャネルセールス部の部長を務める。
ヴァズ株式会社 取締役 事業開発マネージャー
阿部 樹
株式会社フィードフォース取締役を経て、2012年にヴァズに参加し、SnapDishの事業開発を担当。ビジネスモデルをいちから立ち上げ、クライアントや大手広告代理店との関係を構築。現在は、SnapDishの食卓データを活用したファンマーケティングのソリューション開発やセミナー講師に注力。
【基調講演】「レシピ動画、料理SNSの2軸から見る、料理を通じたコミュニケーションの”今”
DELISH KITCHEN・川村氏(以下、川):まずは、DELISH KITCHENの動向についてお話します。DELISH KITCHENのDAUは、コロナ禍で2021年も引き続き増加傾向となっています。
川:コロナ禍での料理トレンドを4つご紹介します。1つ目は、「●●しない」、「時短・簡単」のワードが、検索、保存数ともに人気傾向です。上記図の左グラフにもあるように「時短」「圧力鍋」「ワンパン」など「時短」関連ワードの検索数が伸びています。他にも、ランチレシピや「材料◯つで」「◯◯いらず」のレシピも検索数、保存数ともに人気で、日常的な食事の悩みをどう解決していくかがユーザーの課題になっていることがわかります。
川:トレンドの2つ目は、季節のイベントを自宅で楽しむ傾向が顕著です。一例として、七夕、節分、クリスマス、おせちのデータを挙げてみました。すべて昨対比で検索数が伸びています。
スナップディッシュ・阿部(以下、阿):今、外でイベントを楽しむとか、外食する、とかできないですもんね。
川:そうですね、このご時勢、皆さん自粛していますので、イベントも自宅で楽しむ傾向が顕著に出ていると思います。
川:トレンドの3つ目は、世界各国のレシピが多く検索されるようになり、外食で楽しんでいた料理を自宅で楽しむ傾向が見られます。「アクアパッツァ」、「ヤンニョムチキン」、「ルーローハン」を例に挙げましたが、世界各国の料理の検索数が伸びています。
川:トレンドの4つ目は、「糖質オフ」、「免疫力」といった健康関連の検索数も上昇しています。グラフ左の「糖質オフ」「免疫力」のようなダイレクトなワードはもちろん、免疫力を高めると言われる食材も検索数が伸びています。
阿:ちなみに、川村さんご自身が検索することが増えたワードはありますか?
川:私も、「糖質オフ」とか、「ヘルシー」とか、よく検索するようになりました。コロナ太りの影響からですかね(笑)
阿:次に、スナップディッシュでのトレンドもご紹介します。アンケート調査でコロナ禍での生活の変化を聞いてみると、家での調理頻度が増えたり、イベントを楽しんだりという傾向は同じなのですが、特に顕著に出ていたのが左のグラフです。
「これまで使ったことのない食品・調味料を買ってみる頻度に変化はありましたか」という質問に、半数以上が「増えた」と回答し、「減った」という回答はわずか5%でした。先程川村さんからもご紹介があったように、新しいことにチャレンジしている傾向と考えています。また、「調味料を知ったきっかけ」はSNS・スーパーの店頭、家族や知人のおすすめが多いということが右のグラフからわかります。
阿:こちらのグラフは、コロナ収束後の行動変化について聞いています。「コロナ前より増える」(=赤)が多いのは、自宅で食べる食事の回数、手料理する回数、料理についての情報を得る回数、栄養を意識した食事・料理の回数となりました。川村さん、動画の検索数って全体でも伸びているんでしたっけ?
川:増えてますね。世界各国料理もそうですが、新しい料理にチャレンジするとか、今までと違う検索行動をする方が増えていると思います。
阿:ありがとうございます。一方で「コロナ前より減る」(=青)が多かったのは「スーパー等で試食する回数」が顕著でした。おそらく、コロナ禍で衛生観念が変わったためにこのような結果になったのだと思います。
阿:アンケートでの定量調査もおこなっていますが、スナップディッシュはSNSなので特徴的なデータの分析方法として、「探索型」でデータを見ることがあります。定性データから新しくヒントを得て仮説を構築する手法です。スナップディッシュの料理投稿は、実際に料理した後の結果や実感のデータなので、特定のワードについてユーザーがどう言ってるのか検索できます。
阿:例えば「リモートワーク」で検索すると、「においの強い食品も昼に食べても大丈夫」というコメントを発見しました。コロナ禍で「キムチ」「納豆」が増えていたので、関連キーワードで投稿を探索すると、こういった会話を見つけることができます。この会話からは、リモートワークやマスクのおかげで、においが強い食品にこれまでとは違ったオケージョンでチャンスが増えてるんじゃないかという仮説が得られます。
阿:また、コロナ禍で「料理疲れ」が増えていると言われています。そこで、「疲れた」という単語で探索してみると、「金曜日」というワードを発見しました。左の投稿は「包まないズボラ焼売」、右の投稿は「なんちゃって中華、略してなんちゅう」とユーザーがネーミングして作っています。このように、投稿にはユーザーの思っていることや感じていることそのものを見ることができます。
スナップディッシュは定性情報が多いのが特徴なので、データの使い方としては、DELISH KITCHENさんの定量データと組み合わせると全体像が見えやすくて良いのではないかと思っています。
食卓の新習慣として「定着しない」マーケティングの共通点とは?
阿:ここからは、両社の失敗例を互いに聞いていきたいと思います。
川:まずはDELISH KITCHENで視聴されにくい事例をご紹介します。視聴数を伸ばすには、メディアニーズに合っているかというのが大事になってきます。DELISH KITCHENでは、短時間で、初心者~中級者が作れるもの、簡単に作れるもののニーズが高いので、逆にそうなっていないものは視聴されにくく、いくつか例を挙げてみます。
1つ目は動画を見るまでもないもの。例えばカレー。カレーは初心者の方でもパッケージを見ながら作ることができる代表的なレシピです。誰でも作れるので、動画を見るまでもなく視聴が伸びにくいです。
2つ目は材料が複雑なもの。一般的なスーパーなどでは手に入らず材料を用意するのが大変とか、手間がかかるものです。この例では出汁をとって作っているのですが、「短時間」というニーズが満たされず、伸びにくいです。
3つ目は手間がかかるレシピ。本格手作りスイーツなどの工程がたくさんあり複雑なものも視聴されにくくなってしまいます。
そういった要素はあるんですが、見せ方を変えるだけで視聴が伸びることもあります。
例えばカレーなら、見た目が映えるレシピにしたり、ひと手間で美味しくなるようなテクニックを訴求したり、材料に関しても、「材料○個でできる」などの簡単である訴求を早めに入れる、「家にある調味料で作れる」というのも大事なポイントになります。手間がかかるレシピに関しても、同じケーキ作りでも「トースターや電子レンジで作れる」など調理方法を簡単にしたり、「○分で完成」という訴求をすると同じレシピでも見られるようになっていきます。
阿:徹底して「簡単・時短」に寄せているレシピが強いということなんでしょうか?
川:そうですね。アプリもあるので、基本的な調理方法や食材の保存方法の配信もしています。ただ、ヒットしやすいのはユーザーニーズに合った「だれでも・美味しく・簡単に作れる料理」のコンセプト通りのコンテンツですね!
阿:では続けて、対照的なところもあると思いますが、スナップディッシュで定着しづらい例をご紹介します。スナップディッシュはSNS形式なので、ユーザーに投稿してもらうことが基本ですが、「投稿してもらうこと自体」をゴールに設計してしまうと、投稿した後にそれがどう広がってどう定着していくのかが薄くなってしまうという落とし穴があります。
例を挙げてみると、左側がいわゆる「映え」を狙いすぎたケース。瞬間的には見てもらえますが、作ってもらうとか、その後も他の人がどんどん作っていくという動きがあまり伸びない印象があります。「メイソンジャー」も一時期流行りましたが、当時と比べたらだいぶ少ない気がします。「#デコ◯◯」というのも訴求自体はありうるんですが、忙しい中で「時短・簡単」というニーズがある中で、デコる人というのはすごく限定されますので、見栄えはしてもなかなか定着が難しいと思っています。
ただ、呼びかけ方を工夫することで定着に近づけることもできます。「映えること」を目的にするのではなく、例えば、右の写真にある「ハロウィンで#デコいなり」というように、シーズナリーのテーマに合わせた結果としてビジュアルが工夫された料理投稿が出てくるという提案の方が割とハマりやすいと思っています。
もうひとつの例としては、ユーザーがなぜ投稿するのか、投稿したらどうなるのかという点を見落として、拡散やリーチだけを目的とするような投稿企画になってしまうと、広がりが少なくなる傾向があります。例えば、「#わたしの◯◯ランチ宣言で自分の作りたいランチを宣言して投稿してね!」といった企画もあると思いますが、キャンペーンへの当選やメーカーさんがやってほしいこと以外に生活者がどこで楽しめるかの余白をきちんと作っておかないと、「宣言して何かいいことがあるの?」という落とし穴が待っていたりします。なるべく、投稿した後に生活者がさらに楽しみを見つけ出せる余白を作ることが大事と思っています。
料理の投稿系サービスから見たポイントとしては、投稿自体をゴールにしないということ。例えば、映えを狙い過ぎない、拡散・リーチだけを目的としてやらないという2点ですね。
→後半のディスカッション「中の人がホンネでぶつかる!食卓の新習慣をつくる、効果的なアプローチとは?」に続く
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