今回は、スナップディッシュで7年間ファンマーケティングを継続しているユウキ食品・経営企画室の西島氏をお迎えし、ファンマーケティングの導入から実践、その手応えなど、ざっくばらんに語っていただきました。同社がミッションとして掲げる『「つくる喜び」「みる喜び」「食べる喜び」、「食」すべての喜びを。』を体現する取り組みを実施した結果、ユーザーエンゲージメント量が初年度の180倍超にまで成長した、「楽しみ・喜び」創出マーケティング 成功の秘訣に迫ります。
ファンマーケティング導入の基礎から知りたい方、取り組みながら悩まれている方、社内で「ファン」の重要性を広めたい方などなど、ご活用ください。
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【料理SNS「スナップディッシュ」主催セミナー】
ファンと分かち合う「楽しみ・喜び」創出マーケティング
~ユウキ食品・西島氏に聞く、食品飲料ファンマーケティング成功の秘訣~
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■アーカイブ動画
https://youtu.be/92fW_ZHj4aE
■コンテンツ
00:13 オープニング・ゲスト紹介
00:23 スナップディッシュとは
08:03 ユウキ食品のスナップディッシュでの取り組み事例
26:28 担当者が聞く、ユウキ食品の「楽しみ・喜び」創出マーケティング
30:29 ユウキ食品が考えるファンマーケティング
33:20 食べてもらうことへのハードル(各種トライアル施策を検証)
39:56 SnapDishでの取り組み事例と成果
44:50 フォロワー数やHP流入推移とユーザーとのコミュニケーション作
49:40 まとめ(目的・狙い~継続の手応え~今後の展開~
※
■セミナー資料
https://snpd-tokyo-web.s3.
アジェンダ
- オープニング
- スナップディッシュとは
- ユウキ食品のスナップディッシュでの取り組み事例
- ユウキ食品・西島氏に聞く、ユウキ食品流「楽しみ・喜び」創出マーケティング
- まとめ
- 当日質疑
ゲストスピーカー
ユウキ食品株式会社 経営企画室
西島 進 氏
10年間の営業経験を経て経営企画室へ。市場や消費者の意識調査やSNSなどを利用した広告宣伝の企画を担当。社内の部署間のケンカ仲裁も裏ミッションとして受け持つ。
2014年からスナップディッシュでのファンマーケティング施策を継続。
聞き手
聞き手:ヴァズ株式会社 ファンマーケティングプランナー 堀部
長年にわたり、ユウキ食品さんのファンマーケティングのプランニングや施策実施を担当。西島さんと伴走してきたパートナー。
MC:ヴァズ株式会社 広報担当 落井
1.オープニング/2.スナップディッシュとは
スナップディッシュを初めて知った方向けに、サービスをご紹介しています。
本記事では割愛しますが、知りたい方は、こちら(YouTube該当箇所)からぜひご覧ください。
3.ユウキ食品のスナップディッシュでの取り組み事例
スナップディッシュ・堀部(以下、堀):ユウキ食品さんは2018年から担当していて、もう4年のお付き合いになりますが、過去どういったファン育成の取り組みをしてきたか、まずは担当の堀部からご紹介させていただきます。
堀:ユウキ食品さんについて改めてご紹介します。中華・エスニック向け調味料を中心に展開されていて、代表商品のガラスープやオイスターソースを始め、取り扱うアイテム数がとても多いメーカーさんです。2006年には全米No.1のスパイスメーカー、マコーミックブランドの事業譲渡を受けてさらにアイテム数が増えています。
非常にたくさんのアイテム数を展開されているからこそ、1商品にかけられるリソースが限られ、実効性のあるコミュニケーション作りに課題がありました。
堀:スナップディッシュでの施策を時系列で並べてみました。
2015年が初年となるのですが、まずはトライアル施策としてユーザーさんに商品を使って投稿してもらい、どういうコミュニケーションが出てくるか見てみるということから始めました。ここから公式アカウントの運用も開始しています。
毎年徐々に施策内容をバージョンアップしていて、2016年からはスナップディッシュ主催投稿企画への協賛や、2019年からはさらに発展して、自社単独投稿キャンペーンや他社さんとのコラボ企画にも取り組まれています。そして今年2022年は、1年間のパートナー(アンバサダー)企画や投稿キャンペーンを組み合わせて行っていますです。
堀:2015年から運用している公式アカウントでは、フォロワー4万人まで増えていて、フォロワー向けにおすすめの料理投稿を発信しています。
スナップディッシュの公式アカウントはユーザーさんも投稿で一緒に盛り上げるという特徴があります。登録商品にはユーザー投稿がどんどん集まる仕組みになっていて、例えば、資料右のように「オイスターソース」は2,223投稿、「ガラスープ」は2,763投稿が集まるなど、ユーザーさんも一緒にアカウントを盛り上げていただいています。
商品数が今50商品に増えており、800アイテム中なので先は長いですが(笑)商品に関するコミュニケーションが数多く集まっています。
堀:あるユーザーの方の投稿に対して、他のユーザーさんからもコメントが集まる中、ユウキ食品さんの公式アカウントもコメントをしていただいています。
これを見た投稿者さんからまたお返事があったりと、メーカーさんとユーザーさん1対1ではなく、みんなで並列でコミュニケーションをしているのがSnapDishならではの特徴です。
堀:データも見てみましょう。ユウキ食品さんの商品を使った料理投稿数のグラフになります。右にあるこれだけの商品について投稿が集まっています。
2016年を100%として徐々に右肩上がりに増えており、2019年に単独キャンペーンを始めた頃から大きく伸び始めて、21年には945%、今年も10月時点で828%まできており、前年を超えそうなペースで伸びています。
堀:投稿数と比例してエンゲージメント量(※商品を使った料理投稿に対する「いいね」「コメント」「シェア」の累計数)も伸びており、2016年を100%とした時に21年には約186倍、22年も10月時点で180倍近くまで来ており、前年を越える見込みです。
堀:さらにスナップディッシュの投稿は、自社のブランドページにも掲載されるなど、幅広くユーザー投稿を活用していただいています。
堀:そして、今日は特別に今年始めた新しい取り組みについてもご紹介させていただきます。
22年は年間を通じて常にコミュニケーションが出ている状態で盛り上げていきたいというご要望にお応えして、1年間のパートナー(アンバサダー)企画「ユウキおいしい世界ごはんパートナー」を行っています。ユウキ食品さんの「パートナー」として一緒に盛り上げてくれるユーザーさん15名を募集して、商品を使った料理投稿で活動いただいています。
パートナーの皆さんとははじめにオンラインのキックオフ座談会を行って、ユウキ社員さんのご紹介や会社・商品紹介、パートナーさん同士も自己紹介で交流して、1年間みんなで頑張っていこうというキックオフの場を持ちました。
そこで熱量が高まった状態で、パートナーの皆さんには毎月設定したテーマに沿って商品をお届けして、商品を使った料理投稿で活動していただいています。例えば9月は「残暑乗り切るスタミナごはん」のテーマで「サンバル」「香ばしにんにく醤」「クリスピーチキンシーズニング」でスタミナごはんの投稿をいただくなど、季節に合わせて楽しんでいただいています。
こうして毎月熱量高い投稿が生まれるベースがある状態に加えて、年2回の投稿キャンペーンも行っています。2月は「ワールド調味料でアイデアごはん」キャンペーンで、新発見があるようなアイデア料理を募ったり、9月には話題の「キャンプ飯」をテーマにするなど、パートナーだけではなくまわりのユーザーも参加できる企画でさらにコミュニケーションが盛り上がる山場作りも行っています。
23年7月までの活動予定で、終了時にはパートナーの皆さんをユウキ食品さんの本社にお招きして、みんなでお疲れ様会を開く構想も膨らんでいます。
堀:ここでパートナーの皆さんの投稿も見てみましょう。パートナーの皆さん同士の会話をピックアップしてみると、キックオフ後には「お疲れ様でした」「1年間がんばりましょう!」という交流があったり、ユウキ食品さんも公式アカウントからコメントしたりと、コミュニケーションしています。
いわゆる「アンバサダー活動」と言っても、それぞれが1人で頑張るのではなく、横同士つながりながら励まし合いながら楽しんで活動する様子はスナップディッシュの特徴が表れている部分ですね。
堀:パートナー以外のユーザーの皆さんも、日頃からパートナーの投稿を見てコメントで交流しており、誰でも参加できる投稿キャンペーン開催時には積極的な参加につながっています。投稿キャンペーンのモニター商品について熱量の高い言及が多く、「気に入ったので料理好きな友達にも買ってあげました」とか、「みんなが大絶賛しているこれほしい!」など、具体的なアクションにつながっているコミュニケーションが広がっています。
堀:パートナーの中からは熱狂的なファンも生まれており、あるパートナーの方は、毎月自主的にその月に届いた3商品についての良いと思った点や要望を毎月長文メールで送ってくださっています。
このページでは、その量感も感じていただけるよう1通分のメールをそのまま載せています。「使ってみて率直に感じたことをフィードバックします」と言って、赤字が良い点、青字が改善点や要望で、その両方を全商品について書いてくださっています。
例えば一番上の「スパイス21」という商品では、「食材の良さを打ち消さない」「風味と味の濃さのバランスが良い」と評価いただきながらも、「パッケージが分かりづらく初見ではとっつきにくい」とか、「使う分量の目安がわかりにくい」など、親身になったコメントもお寄せいただいています。私と西島さんも毎月そろそろかな、と楽しみになってきていますよね。
毎月自分の時間を使ってユウキ食品さんのことを思ってこういったメールをくださる方が出てきたのも、パートナー(アンバサダー)企画のひとつの成果ではないでしょうか。
堀:こうしたパートナーの皆さんやまわりの皆さんの反響を受けて、西島さんが動いてくださって新企画も生まれています。
「スパイス21」や「オールシーズニング」という商品は熱望の声が上がるものの「なかなか店頭で見つからない」という声も多い状況がありました。そこで西島さんが社内を動かしてくださいましたよね!せっかくですので、西島さんからご紹介いただけますか?
ユウキ食品・西島さん(以下、西):はい、皆さんにこの調味料を気に入っていただいて、使い切って次を買いたいのに店頭で見つからないとか、一般のECサイトでも取り扱いがなく、唯一販売しているのが弊社の運営するECサイトのみだったんですね。
ただ、弊社のECサイトは送料が高く、送料であと2-3商品買えてしまうくらいの商品単価でもあるので、どうにかこの声に応えられないかなということで、会議で送料無料キャンペーンの実施を提議しました。無事に承認されて期間限定で始めたのですが、好評なのでもう12月末まで延長しての実施も決まったところです。
この企画についてユーザーの皆さんにお知らせすると、皆さんが自発的に「ユウキが何かキャンペーン始めたよ!」と宣伝もしてくれていて、かなりいい事例になったと思っています。
堀:資料左のコメントは西島さんからパートナーの皆さんへの送料無料キャンペーン実施決定のお知らせを載せているのですが、「決して押し売りではありません笑」という注意書きもいただいていたんですが、皆さん自主的に広めていただいて!
「送料無料だから、こんなにたくさん買っちゃいました!」という投稿や「今、スナ友さん(スナップディッシュ友達)の間で話題のユウキ食品さんのスパイス21、ユウキさんが太っ腹に送料無料にしてくれたよ!」と告知をしてくれて、周りの方も「店頭で買えなくて諦めていたけど、早速チェックしなきゃ」とか「ユウキ食品の担当者さんの熱いプレゼンのおかげでみんなの声が届きました~!」といった喜びの声も上がっていましたよね。
ユーザーさんの中でも「ほしいのに見つからない」という声がたくさん出ていたので、ユウキさんの対応にも信頼や評価が高まった取り組みになりました。
スナップディッシュ・落井(以下、落):ありがとうございます!では、後半はいよいよ、ユウキ食品さんの中のお話も伺っていきましょう、西島さんよろしくお願いします!
落:今回はこのセミナーテーマ「楽しみ・喜び」創出マーケティングというネーミングも西島さんからいただき、即採用させていただきました。これまでのユウキさんのユーザーさんとの取り組みを本当にそのまま表している、その内容についてご紹介いただきます。
西:今回のセミナー申込み時のアンケートで、皆さんからこのような内容を知りたいとご回答いただきました。弊社の場合、「ユウキ食品流」ということで、かなり独特な企業風土がありますので、若干世間離れしたところもあるかもしれないですが(笑)ご理解いただきながらこれまでの経験をもとにお伝えしてきたいと思います。
西:まず初めに、SNS関連では、弊社は2015年から取り組みを始めました。タイミング的にはFacebookもピークを過ぎた頃で若干遅いスタートにはなりましたが、一番最初に取り組んだのが実はスナップディッシュさんでした。その後Facebookも始めたのですが、その準備を進めていた時に、ヴァズさんからスナップディッシュをご提案いただいたので、Facebookの練習のような感覚でやってみようかと始めたのがきっかけでした。2019年にInstagram、2020年にマコーミックブランド限定になりますがTwitterも開設し今に至ります。
西:SNSを始める前は、炎上したらどうしようとか、コメントが入りすぎて返信の対応が遅れたらクレームが来るかもしれないといった不安もあってなかなか踏み切れませんでした。
まだSNSの取組みをしていないメーカーさんは、おそらく弊社と同じような不安なども抱えていらっしゃると思いますが、経験からお話をすると、まず開設しただけではフォロワーが全然集まりませんでした。
まずFacebookから運用を始めてみてもフォロワーが集まらず、広告費を投入してフォロワーを集めたこともありました。たしかにフォロワーは増えるのですが、実際に集まった人をよく見ると、うちの調味料とは関わりのない外国の方が多く…しかも英語圏ではなく、お名前も読み取れないようなアラビア語のアカウントなんかが集まってきて…。
そのことが投稿に対するリアクションに表れていました。Facebookも今は2,000人くらいフォロワーがいる中で、1投稿に対して「いいね」が3つ4つというのがほとんどです。やはりフォロワーの数も大事ですが、どれだけ興味を持ってもらえるかということも重要ですね。炎上するほど認知もされておらず、心配しすぎだったと思います。
SNS自体が悪いということではなく、運用についてこの先もいろいろ経験しながら、学んでいくつもりです。
西:そして、今回のテーマの「ファンマーケティング」。これまで言葉は聞いたことはありましたが、改めて弊社なりに考えてみました。
弊社は「ガラスープ」や「オイスターソース」など商品を使っていただく方に支えられているんですが、「ユーザー」と「ファン」は何が違うのかと考えた時に、どちらかというと「ユーザー」は商品寄り、「ファン」はユウキブランド全体にかかっているという考えに至りました。
具体的には、「ガラスープはユウキ食品を使ってます」「オイスターソースはユウキ食品のを使ってます」ではなく、「ユウキ食品のガラスープだから」「オイスターソースもユウキ食品のだから」と、商品の前にブランドが来るユーザーの方を「ファン」と定義して、そういう方を1人でも多くしていく活動を「ファンマーケティング」だと考えています。
ファンになっていただくと、新商品や、まだ市場に出回っていないマニアックな商品、ニュースや企業情報などにも興味を持っていただいたりするので、1人でも多くのファンの方を育成していきたいと思いながら、活動しています。
西:では、どのような活動がそれに該当するのかというと、非常にシンプルになりますが、「食べてもらって、わかってもらう」ということに尽きると思っています。「いい意味でも悪い意味でも…」と書いたのは、私もユウキ食品の社員だからと言って、自社商品をすべて美味しいと思っているわけではありません…(笑)万人受けを目指すのではなく、悪いには悪いなりの理由があると思いますので、その声にも耳を傾けながら商品開発等に活かしていく、という意味合いで書かせていただきました。
まず「わかってもらうためには」という点では、「ユーザー」になってもらう必要がありますし、「ユーザー」になってもらうには「商品とのタッチポイント」を増やす必要があります。
コロナ前までは、積極的に店頭で試食販売を行って実際に味を見て、納得して買ってもらうプロモーションに重点を置いていたんですが、コロナ禍で制約がかかってしまったので、商品とのタッチポイントを増やす施策は試行錯誤を重ねながら活動しています。
西:こちらは、商品のタッチポイントを増やす施策について弊社の経験からの分析です。すべてのケースに当てはまるわけではないという前提でご覧いただければと思います。
まず「店頭での購入」、メーカーにとっては一番の理想ですが、初めての商品に300~400円払うというのはハードルが高いですよね。
2つ目の「サンプル無料配布」は、不特定多数に配れたり、ターゲットを絞って配れたりもありますが、受け取る方にニーズがあるかというと「タダだからもらった、実際は使っていない」という方にも配布してしまうことになります。調味料なので1回買うと使い切って次を買うまでに3ヶ月~半年、1年かかる場合もあるので、その方が気に入ってその後買ってくれたのかが不明確になりがちです。
3つ目の「サンプル有償配布」については、サイトで「お試し価格で提供」というのがよくあります。たしかに市場価格の半額ほどになるんですが、ケース単位での提供が多く、ただでさえ購入スパンが長いのに、ケースで提供した後に、買ってくれるのは何年後なんだ?という時間軸になってしまいリピーターになったかが分かりづらいですね。
最後に「(サンプル)ポイント還元」については、よく対象商品を買って、専用のアプリでバーコードとレシートを送ると、商品代金相当のポイントバックというサービスです。これも実質無料ということでサンプル配布と同等と考えると、専用アプリ内でのプロモーションなのでセグメントが非常に限られて、狙ったターゲットに配るのが難しい側面があります。
各施策後にアンケートなどで感想や買ってみたいかなど調査もできて、だいたいの場合、うれしいことではありますが、いい反応が集まるんですよね。社内への報告としては、体裁がたったりもするのですが、やはりリピートユーザー、ロイヤルユーザーにつながっているのかという軸で考えると、喜んでばかりはいられないのかと思います。実際にはギャップがありますので、その例を次に見ていきましょう。
西:こちらはある商品を「店頭で買ってください」と発信して、その商品の使用経験とリピート購入意向について調査したデータです。
うれしいことに、「知らなかったが始めて使った」を含む、どの購入経験のグループも8~9割が「再購入したい」という結果がでました。商品を変えて何度か実施をしましたが、たいていはこのような良い結果が出て、この数字だけを社内で報告すると「いい結果じゃないか」と評価をされるんですが、「どれだけの人が本当に買ってくれているのか」が気になって、その後トレース調査をしてみました。
検証に利用したサービスが、対象商品やキャンペーン商品以外にも普段のお買い物レシートをスキャンして登録すれば謝礼をもらえてユーザーの方の普段の購入データまで紐づいているサービスだったので、「再購入したい」と回答した方が実際6ヶ月後に買ってくれていたかを調査した結果が下のグラフになります。
グラフと見ると、2回、3回から6回まで買ってくれた方もいたのですが、実際は「再購入意向」が9割もいた中で、購入してくれたのはわずか7%ほどで、10分の1以下です。たとえば100人に配ると90人が「また買いたい」と言ってくれますが、実際に買ってくれるのは7人と考えると、アンケート回答にはかなり社交辞令も混ざっている可能性があり、数字にとらわれ過ぎるとぶれてしまうと感じた事例のひとつです。たまたまこの商品に限っては、このような結果だったのかもしれませんが、おそらく他の商品でもこれくらいのギャップはあるのではないかと思っています。
さらに、ここでは終わりません!(笑)
「買いたい」と回答していたのに買わなかった人にしつこくアンケートを飛ばしたところ、共通する答えが「まだ使い切らずに冷蔵庫に残っている」とか、「ほしいんだけれど近くに売っていない」で、まだまだ使い方の提案やメニュー提案も強化しなければという次に活かせる気づきも得られました。
西:一方こちらはスナップディッシュの事例になります。先程と違ってこちらのページには数字が一切書いてありません。その代わり、数字では伝わらないユーザーの皆さんの熱量が伝わってくるかと思います。
投稿を見るのが私を含む弊社スタッフになるんですが、まさに私たちにとってこのビジュアルこそが、今回のテーマ「楽しみ」や「喜び」になります。こういった熱量ある投稿を楽しみに、スナップディッシュのユウキ食品アカウントを運営しています。
堀:西島さんはすごくユーザーさんの投稿を見てくださっていますよね?私がいつも施策後のレポートで投稿をまとめて持っていくんですが、「知ってる知ってる」というような反応なので(笑)すごく見てくださってるんだなぁといつも思っています!
西:そうですね、すごく見てます(笑)ここで例に挙げている「アメリカンケイジャンソース」は、正直あまり売れている商品ではないのですが、このようにユーザーの方々の美味しそうな料理投稿を見たり、コメントで「試してみたい」とか「使ってみたい!」という声を見ると、やり方次第で売れるのではないかと可能性を感じることがあります。弊社の取扱商品では、このように知られていない商品がたくさんというかほとんどがそうなので、まさに「食べてもらってわかってもらえた」という例になります。
ただあまりそこを突き詰めすぎると、ここにあるコメントのように、せっかく興味を持ってもらったのに「どこにも売っていない」というがっかりさせてしまう状況に陥ってしまうので、適度に配荷バランスも見ながら体験していただく商品を選定しています。でも、こういったコメントを営業と共有して、定番導入に至った例もあります。
西:次に、こちらは先程の「アメリカンケイジャンソース」のユーザー投稿数を月別にグラフにしたものです。2021年7月と2022年1月の2回、投稿キャンペーンを実施して商品を配布しました。投稿キャンペーンが終了すると確かに投稿数はグッと落ちるのですが、その後も数は少ないながら今でもコンスタントに投稿いただいています。ここまで間があくと、使い切ってまた新しく購入してくれたんだなということも読み取れますので、リピートユーザーへの育成が成功した事例です。
ちなみに「ガラスープ」の場合は、汎用性も高い調味料ですし、すでに普段からお使いの方も多くいますので、投稿キャンペーン終了後は数は減るもののコンスタントに月に30~40件くらい投稿いただいていて、この中にロイヤルユーザーも含まれていると感じています。
堀:通常サイズでは足りなくなって「業務用サイズで買ってます」というユーザーさんもいらっしゃいますもんね?
西:そうですね、うちにもヘビーユーザーの方がいらっしゃって、スーパーの店頭でもお得サイズで400gでの販売もしています。
良い例ばかり並べてもあれなので、右下の方で失敗例もご紹介したいと思います。2015年12月のクリスマス時期のパーティー料理の投稿キャンペーンで「ポップコーンシーズニング」というポップコーンの味付けをする商品を100名の方にサンプリングしたんですが、たったの12件しか投稿が返って来ませんでした・・・。よくよく考えると、家で豆からポップコーンを作る方なんてほとんどいないですよね?想像はついていたんですが、まさに数字に現れたと感じた事例です。
落:先程お聞きした2015年からの試行錯誤の様子が伺えますね・・・!
西:次はフォロワーのグラフです。増減を棒グラフに、累計を線グラフに示してみました。現在スナップディッシュでは約4万人の方にフォローしていただいています。
資料では40,060とありますが、今朝見ると2人減っちゃってましたね(笑)他にも弊社が運用しているTwitterやInstagramでは、キャンペーンを開催した月はフォロワーがグッと伸びるんですが、特にTwitterに顕著なのが、キャンペーン終了後にフォロワーの離反が起こって、折れ線グラフが右下がりになってしまいます。
一方、スナップディッシュやInstagramでは、キャンペーン終了後もそのままフォローし続けてくれてほとんど離反が見られないのが、他の媒体と比べて違う点だと思います。
西:今度は、自社のホームページへのスナップディッシュからの流入数を示したグラフです。スナップディッシュでユウキ食品アカウントからの投稿に「詳しくはこちら」と弊社ホームページのURLも入れています。そうすると、スナップディッシュから「より詳しく見たい」とホームページに飛んできてくれた数を折れ線グラフで、投稿した数を棒グラフで示しています。
私がまだ担当を始めたばかりの2015年頃は、今見るとけっこう一生懸命投稿していますね、2日~3日に1投稿とか頑張ってやっていたんですが、1年後にはサボりがちになって(笑)流入数も低空飛行が続いていたんですが、急に2020年3月に過去の投稿から弊社ホームページにアクセスが増えたということで、ちょうどコロナによる外出自粛ムードの時期で、皆さんおうちで料理をしてレシピ需要も高まったタイミングだったのだと思います。
その時からまた流入数が増えてきて、弊社でも2020年の秋からは担当を二人体制にして、レシピの説明、おすすめのポイントなども丁寧に載せているので、もぐもぐ(いいね)の数も100近くまで伸びる投稿もあり、またユーザーさんの投稿にコメントをし始めたりして、おかげさまで流入数は今では右肩上がりになっています。
他にもユーザーの方でInstagramと併用して投稿される方もいるので、キャンペーンのときにはInstagramでも商品が写り込んだ料理画像が投稿されたりすることも多く、二次効果や波及効果と感じています。
西:とは言え、なかなかユーザーの方から公式アカウントの投稿にコメントがつくことはなかなかないんですが、こちらが記念すべき始めてのユーザーさんからの書き込みということでご紹介させていただきます。「写真の画素数が粗いのが残念ですね」と記念すべき始めてのコメントがこれなんですが、私がリサイズを間違えた画像を投稿しちゃったんですね(笑)返信でお詫びのコメントも書きました(笑)
公式アカウントでの投稿にユーザーの方からコメントがくるまでは行き着いていないところが、まだまだこれからだなと思っています。
西:ということで、最後にまとめますと、「ファンマーケティング」の目的や狙いについては、弊社の場合取扱商品が多いので、コンセプトを理解してもらって、いろいろな商品や企業活動にも興味関心を持ってもらうことを目的に活動しています。
そのために、いろいろな商品を使ってもらう効果的な機会を提供してくれているのがスナップディッシュさんだと感じています。先ほどのポップコーンシーズニングは少々やりすぎてしまった感はありますが(笑)マニアックな調味料を配っても、期待を裏切らない投稿をしてくれているところが注力している点です。
効果検証方法については、気になるという回答が最多となった項目なんですが、最近はスナップディッシュさんにいただいた投稿データを弊社内のBIツールに入れて分析をし始めています。始めたばかりなのでそこまで高度ではないんですが、せっかくの機会なので分析の一例を少しご覧に入れたいと思います。
落:ありがとうございます!社内ツールの公開なんてなかなかないと思うので、本当に貴重な機会ですね!
西:こちらが弊社で使っているBIツールです。(※BIツールの使い方は動画アーカイブここからツールの動きも合わせて、こちらからご覧ください!)
スナップディッシュさんからいただいた投稿データを取り込んでいます。例えば商品ごとの投稿数やもぐもぐ数(いいね数)、閲覧数が見られるようになっていたり、商品一覧からマニアックな「ジャークチキン&ポークソース」を選んでみると・・・
西:このように、今292投稿いただいていて、もぐもぐが多い順やコメントが多い順などいろいろ並べてみて、人気の投稿はそれぞれ詳しく見たりします。
西:例えばこの投稿は、「マヨネーズとかけ合わせたら合う!」ということでユーザーさん同士でコメントが盛り上がっていることがわかるんですが、こういうところからメニュー開発や商品開発のヒントも得られたりしますので、コメントを分析するのにも使っています。
他にも今回営業の販促担当の方もたくさん参加されていると聞きましたので、例えば営業への情報共有としては、「購入」というキーワードがコメントに含まれる投稿を絞り出して、どういうコメントのやり取りをしているのか、スナップディッシュの投稿ページに見に行ってみます。そこで見てみると・・・
西:このように「店頭で販売してるのかなぁ?気になる!」といったコメントを見つけたりします。すごく興味を持っているユーザーが実際いるということですので、こういうコメントを集めて営業に「これだけニーズがあるから」と共有することで、流通商談での提案材料にしてもらうこともこのツールを活用して今後やっていきたいことのひとつですね。
他にも例えば「クスクス」というモロッコのパスタのような商品を「おつまみ」というキーワードで絞り込んでみると、美味しそうな料理投稿が結果に出てきて、料理投稿を見に行くと丁寧にレシピも書いてある投稿もあるので、メニュー提案やメニュー開発の参考としても活用しています。どの投稿が反響があったのか、コメントに何かヒントがないかなどを見れるようにしたところですので、今後はその効果検証も進めていきたいと考えています。
堀:効果検証と言っても明確に数字を見るよりも、ひとつひとつの投稿を見ていって、営業や商品開発、メニュー開発だったり、それぞれ活かせる場所に活かしていく、ということですよね!
西:まだコメントは十分に分析しきれていないんですが、もっと使い込んでより効果的な検証も今後やっていきたいですね!
次に社内理解を得る方法ですが、まだうまく社内共有が十分にはできていないんですが、先程のように営業部やメニュー開発部門と連動したり、商品開発部門と共有できるような有益な情報もたくさんあるので、部署内で整理してから社内共有を進めていきたいと思っています。
堀:社内を巻き込んでいくようなイメージですかね?
西:随時、情報発信はしているのですが、一方的な発信なので社内に行き渡ってはいないのが実情です。今日私がこのセミナーに出ることで少しでも社内共有が進めばという狙いもあってお受けしたのもあります(笑)
堀:ありがとうございます、ぜひご活用ください!(笑)
西:はい、ぜひ同じ悩みを抱えられているメーカーさんがいらっしゃったら出演されてみてください。
次に、スナップディッシュを採用した理由は、先程お話しの通り練習台ということもあったんですが(笑)今では、Twitter、Facebook、Instagramと運用している中では一番効果のある取り組みになっています。一部の成果としては、送料無料キャンペーンにつながった事例もあるので、引き続き活用しながら成果を増やしていきたいと考えています。
継続している手ごたえは、今年はパートナー企画という中長期的な取り組みも試みて、毎月担当者同士で、来月はどの商品を使ってもらうか、あれがいいんじゃないか、マニアックすぎるんじゃないか・・とワイワイやリながら、パートナーの皆さんには難易度の高い商品を使ってもらっているんですが、こちらが考えてもなかったメニューなど期待を裏切らない反応を返してくださるし、やはり熱量の高いユーザー同士のコミュニティーの中から自然な形で出てくる投稿やコメントからヒントをもらうこともあります。そしてなにより、私たち自身のモチベーションアップにもつながっています。
西:今後の展開では、7年目にして、今年はパートナー(アンバサダー)企画というユーザーとの密な関係を築ける取り組みができるようなったので、引き続き継続していきたいですね。また堀部さんとも相談しながら企画を作っていきたいと思っています。それから、過去に花王さんともコラボをさせていただいたんですが、1社でやるキャンペーンよりは2社、3社と複数社でキャンペーンを企画すると、よりユーザーさんも盛り上がると思いますので、企業間コラボ企画やそのマッチングをスナップディッシュさんに繋いでいただければなと思います。
落:今日ご参加の方からも手が挙がるといいですね!ぜひ!
西:最後に本音ベースでスナップディッシュの評価ということですが、まずほとんどSNSの知識や経験のなかった弊社でもここまでユーザーの方に支えられたり、サポートいただいて4万人ほどのフォロワーを抱えられているのも、本当に感謝です。
ずっとSnapDishを持ち上げてきてばかりだったので、ここからは別な点からの本音です。
まず、これは弊社の力不足でもあり、せっかく素敵な投稿をいただいてもなかなか活用しきれていなかったんですが、最近はようやくホームページにプラグインで埋め込んだり、今InstagramなどのSNSでもユーザーさんの投稿を紹介したりと活用でき始めてきたと思います。
堀:はじめは西島さんお一人で運用されていたのが、今はメンバーも増えてスナップディッシュにかけられる時間が増えたというのもありますよね?
西:若いメンバーが加わりましたので、これまでは私がしがみつきながらなんとかやってましたが(笑)若い感性に任せて今後は展開していきたいと思います。
あとは、最初の方でスナップディッシュさんの説明でもあった通り、スナップディッシュはユーザー同士の自然なコミュニケーションの場と紹介された通りで、正直、あまりメーカーが商売っ気を持ち込んで、「これを買ってくれ、使ってくれ」とやるのはあまり向いてないんじゃないかと思いますね。
弊社も過去にInstagramアカウントを立ち上げた時、ちょうどスナップディッシュでのフォロワーが3万人くらいいたので「このフォロワーそっくりいただいちゃいましょう♪」と思って「Instagram始めました」と要所要所でスナップディッシュの中でも宣伝していたのですが、そうそううまくいくものではなかったですね(笑)
他にも、オイスターソースの新しい食べ方提案ということで、「あえて生で使ってほしい」という思惑で「#生がけオイスター」という投稿キャンペーンをやったことがあるんですが、その時は盛り上がったんですが、終わったらぱったりとハッシュタグが使われることがなくなったということもありました。
ユーザーさんは必ずしもメーカーの思惑通りに動いてくれるわけではなく、忖度なく自然や本音がスナップディッシュの良いところだと思いますので、商売っ気を出すというのはよろしくないと学びましたし、逆に送料無料キャンペーンの時はこちらは控えめにお知らせしていたところ、逆にユーザーの皆さんが自発的に広めてくださったということもありますね。
スナップディッシュで何かを広めるというよりは、何かヒントをもらうというくらいの立ち位置がちょうどいいかもしれません。と言っても、ユーザーの方々もメーカーの立ち位置も理解されているので、いやらしくない程度に料理の後ろに商品を映し込んでくれたりと自然な形で宣伝活動もできています。
最後に、ユーザーの方の写真のクオリティーがとても高いので、メリットとしては二次利用の際も申し分がないくらいなんですが、デメリットというと、自社のホームページに掲載しているレシピ写真と並べてしまうとだいぶクオリテイの差がつくので、並べては使えないことくらいですね(笑)
スナップディッシュさんの関係者かと思われるくらい、いろいろ持ち上げてしまったのですが(笑)私も今回本音でいろいろご紹介させていただきました。弊社独特な点もありますので、視聴いただいた皆さんにどこまで業務の参考になるか心配もありますが、スナップディッシュで弊社だけが成功してもなにもないと思いますので、参加されている、もしくは参加を検討されているメーカーさんと一緒に盛り上げていくことで、より相乗効果が生まれてくると思いますので、私が言うことではないんですが(笑)、ご検討されている方がいらっしゃたら一度お試しされてみてはいかがかなと思います。
堀・落:西島さん、ありがとうございます!本当に西島さんがスナップディッシュのアンバサダーですね。。
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いかがでしたか?
スナップディッシュでは、11年のサービス運営ノウハウをもとに、ユーザーさんの自然な食卓に馴染むようなコミュニケーションプランや、企画ディレクションをサポートしています。
食卓にまつわる商品のファンづくりやファンマーケティングにご興味を持たれた方は、ぜひ一度下記のお問い合わせフォームよりご相談ください。
貴社の課題やご要望に応じて最適なプランをご提案させていただきます。まずはぜひお話を聞かせてください!