【食品飲料のための食卓ファンマーケティングセミナー・基礎編】
“推奨意向”によるLTV(≒年間購買量)アップと、ファン育成実践のポイント
~ファン育成につながる体験創出が、購買量に影響を与えた実例を解説~
▼アーカイブ動画はこちら
https://youtu.be/dZYD9nCF8Fg
アジェンダ
1.オープニング
2.「年間購買量」と「推奨意向」
3.商品タイプ別の傾向
4.推奨意向をあげるヒントと事例
5.導入に向けて
1.オープニング
SnapDishを初めて知った方向けに、サービスをご紹介しています。
本記事では割愛しますが、知りたい方は、こちら(YouTube該当箇所)からぜひご覧ください。
2.推奨意向に注目した年間購買量アップ
まず本編に入る前に、今回のテーマ「年間購買量」と「推奨意向」に着目した背景について、少しご説明します。
まずは、なぜ「年間購買量」なのか。
1つ目としては、ものを買うことの背景が20年前と大きく変わっているという点があります。最も大きいのは、2008年から人口が減少トレンドに入っているということ。
2つ目には、インターネットやスマホの普及で、情報量が圧倒的に増えているということ。
そして3つ目に、これらによって、どういう情報を参考にものを買うかが大きく変わって、1人お客さんを連れてくるのが昔と比べてかなり難しくなってきているということが挙げられます。
「ファンマーケティング」という言葉を目にすることも増えてきましたよね。
左図がよくマーケティングで用いられる、どうやって買ってもらい、リピーターになってもらうかを示すファネルの図。分かりやすく整理されていて、使いやすい考え方ですが、情報を伝えるのが難しくなってきた今、この手法だけでは効率が悪くなってきたという課題があります。
なので、右図のように、1人1人に体験して好きになってもらい、ファンを増やしていくという手法に注目されており、この2つを同時に両方やっていかないといけないという考え方が出てきている点が、年間購買量に注目した背景にあります。
そして、もう一点、推奨意向について。
年間購買量を上げていく場合、見ることのできる指標はいろいろあると思います。
例えば「体験率」、これを伸ばしたい場合はサンプリングを実施するなど。そして「売上」、これを伸ばしたい場合はインセンティブ付きキャンペーンでスタンプラリーをするなど。やり方はさまざまあると思います。
ただ、継続してやり続けるには大変な施策が多く、それと比較すると「推奨意向」は長期的に指標と置いても無理が出づらいと言われています。長期的に見る指標として使いやすくて、かつ、売上との相関も高いという理由で選ばれることが多い指標です。
中でも有名な指標として、NPS(正味他者推奨意向)があります。
このグラフは、「あなたはこの製品を友人や家族に奨めたいと思いますか」という質問に0~10の11段階で答えてもらった回答の分布を示しています。「とても奨めたい」という9と10の回答者を「推奨者」、6以下の回答者を「批判者」、このパーセンテージの差をとったスコアのことをNPS® (正味他者推奨意向・Net Promoters Score)と言います。
このNPSが、「推奨者」という考え方を使った中で一番有名な指標で、ブランドの成長性との相関度が一番強いと海外で調査データも出ている指標になります。
ポイントとしては、例えば売上をゴールにすると、商品ごとに、単価の高い安い、購買頻度の高い低いなど、一緒に比較するのが難しいですが、推奨者、またはその比率に注目すると、いろんな商品を横並びで比較することができる点でも使いやすいと言われています。
「推奨者」に着目しているもうひとつの背景として、推奨意向と年間の購買金額はかなり強く相関しているという点が挙げられます。
例えば、これはスナップディッシュでデータを取ったある商品。他者推奨意向で、真ん中の5・6を選んだ人は年間で約3,000円買うと答えているのに対して、最高値の10と答えた人は年間9,600円も買うと回答しています。
ここに3倍ほどの大きな差があるということで、推奨意向でTOP1、一番上の回答を選ぶ人は突出して気持ちが強い傾向にあるというのは、各種の調査で感じているところです。
ちなみに、「推奨度」というのはかなり使いやすい指標ですが、海外と比較すると日本人は「他の人には奨めないけど、自分は好き」という傾向が強く、控えめな国民性と言われています。
そこで、もうひとつの指標として、他者に奨めるかは関係なく自分がどれくらい好きかという「愛着度」も同時に取得しています。
実は「愛着度」の方が購買金額と相関が高く、この商品が好きか嫌いかを聞くと、「どちらもない」と答えた人(上記グラフでは年間1,482円)に比べると、「人生に欠かせないくらい大好き」と答える人はその10倍以上(上記グラフでは年間20,037円)購入すると回答しています。
こちらの方が相関は高いのですが、世の中一般に流通している指標と比較もできるよう、スナップディッシュでは両方の指標を取り入れています。
そして、「推奨度」と「愛着度」の両方のデータを取っている理由がもうひとつあります。
「推奨意向を上げていくと良いのはわかったけど、どうやったら上げられるの?」となりますよね。「奨めてもらう気持ちにするには?」と考えるとアプローチが難しくなりがちです。
ただ、このグラフを見ると「愛着度」をクロスさせると、「推奨度」で10と答えている人は、愛着度で「人生に欠かせないくらい大好き」「大好き」と回答している人でほとんどを占めています。なので、基本的にはとにかく好きになってもらう、人生に欠かせないくらいこの商品が好きという人を作っていくことで、長期的な成長が見えてくるという関係性があると考えています。
「人生に欠かせないくらい大好き」といっても食品の場合どういうことなのか、イメージがつきにくいので、例を挙げてみましょう。
後でご紹介する練り物メーカー様についてなのですが、推奨度10、愛着度「人生に欠かせないくらい大好き」、購買頻度「週に1パック程度」という人が、なぜそうなのか理由ときっかけを聞いた回答です。
「海辺の町でいくつも練り物屋さんを食べ比べてきたけど、それに匹敵するものがスーパーで買えるから好き」、そう思うようになったきっかけとして、このメーカーさんの「イベントに参加した後、練り物が美味しいスーパーで商品の表示見て、多くがそのブランドだった」ということで、人生に欠かせないくらい、このブランドが好きになったエピソードが得られています。
3.商品タイプ別傾向
ここまでは特定の商品や全体の数値の関係を見てきたんですが、ここからは、商品のタイプによっても傾向が違うというデータを見ていきましょう。
まず、単純集計して商品種別と年間購買量だけを見ると、「シェアが大きい商品がよく買われる」くらいの当たり前のことしか見えてきません。これを先ほどのNPSで出てきた「推奨」「中立」「批判」に分けてみると、面白いことがわかります。
上2つは定番調味料のグラフになります。
一番上の「定番調味料・シェア1位」の商品では、年間購買金額を「批判」と「中立」で比べてもあまり変わらないですし、その下の別カテゴリーの「定番調味料・シェア3位」の商品も、「中立」と「批判」であまり変わらないですね。ただし、「推奨」までいくとそれぞれ何十パーセントも年間購買金額が上がっています。
どういうことかというと、定番の商品であればあるほど、みんなある程度は買います。なので「ちょっと好き」くらいではそんなに変化がないのですが、「人生に欠かせないくらいで大好き」までいくと、定番商品でも購買量をさらに何十パーセントも伸ばす余地があるということがわかります。
「人生に欠かせないくらい大好き」という人にはエピソードしっかりあるという特徴があります。
こちらは、「人生に欠かせないくらい大好き」という人がなぜそうなったかを聞いた回答です。
「一人住まいを始めた時、この調味料で作った自分の料理が美味しくできて感動して、友人にも美味しいと褒められて自炊に自信がついたきっかけになった」とか、「卵焼きの時にこれ以外を使うと味が違う言われた」とか、「食が細かった息子がチャーハンを作ってあげるとペロッと食べて登校して、友達がおまえんちのチャーハン最高だったなって言っていた」など、それぞれにちゃんとしたエピソードがあリます。
この商品が自分にとってすごく大事なんだと思う体験づくりが「人生に欠かせないくらい大好き」となってもらうためのポイントとなってきます。
ちなみに、どれくらい他の人に奨めたいかを聞いた後に「おすすめの理由」も一緒に聞いていて、それだけだと淡白な回答をさらっと書いて終わり(上記「おすすめの理由」欄)なのですが、なぜそう思うようになったんですかと、具体的なきっかけまで掘り下げてあげると、詳しいエピソードが出てきます。
例えば、自社の商品について掘り下げて聞きたい時など、エピソードを二段階で聞いていくというのはよく使っているテクニックです。
次に、まだ市場に出回っていないニッチなポジションや新しいカテゴリの商品について。
明らかに定番商品とグラフの形が違っていて、「批判」と「中立」の間に明確に階段があって、さらに「推奨」ではその段差がドンと大きくなっています。
まだ定番化してない商品では、「ちょっと好き」くらいでも売上はある程度伸びていき、さらに「大好き」「人生に欠かせないくらい大好き」にまでなると、この商品はここまで伸びるということがこの階段のグラフで見えてきます。もっともっと好きになってもらうことが意味を持ってくる商品もあると思います。
では、前半をまとめます。
年間購買額と推奨意向は相関していて、好きになってもらえばもらうほど推奨意向や年間購買量が相関して向上していく。
当たり前のことですが、「好きになってもらう」ことを重視していくと年間購買まできちっと上げていくことができます。
ただ「好きになってもらう」だけだと、経営へのインパクトがわかりづらいので、年間購買額と推奨意向の2つを使って定量化しておくと、例えば、他社との比較がしやすく、長期でどれくらいコストをかけていいのか見えやすくなるので、この2つの指標を使っていただくとわかりやすいと思います。
では、「好きになってもらう」というのは、どうやったら作れるの?という疑問が出てくると思いますので、後半ではすでに実績がでている施策をいくつかご紹介していきます。
後半:実例紹介(一正蒲鉾株式会社・ブルドックソース株式会社)はこちら>>
▼セミナー資料ダウンロードはこちらから