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セミナーレポート:後編【食品飲料のための食卓ファンマーケティングセミナー・基礎編】”推奨意向”によるLTV(≒年間購買量)アップと、ファン育成実践のポイント

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2022.03.07

 

アジェンダ

1.オープニング
2.「年間購買量」と「推奨意向」
3.商品タイプ別の傾向
4.推奨意向をあげるヒントと事例 ←後編はここから
5.まとめと導入に向けて

4.推奨意向をあげるヒントと事例

【事例1】一正蒲鉾株式会社 自社ブランドの愛好者を増やす、ファン施策

後半は、2つの事例をご紹介します。

1社目は、一正蒲鉾株式会社様で「自社ブランドの愛好者を増やす、ファン施策」について。

図15

まずは、背景となる課題について。

一正蒲鉾さんは、シェアは2位なんですが、練り製品全体の消費が減少トレンドになっているという課題があり、その中で選ばれる、勝ち残るブランドになるために、SNS等を活用したファン作りに会社として取り組んでいます。これはIRの資料にもはっきりと書いてあるような取り組みです。

スナップディッシュでは、2018年からご一緒していて、当初からユーザーとの直接的なコミュニケーション、体験づくりを大切にされていて、イベントやモニター企画など、いろいろ組み合わせた施策を実施しています。

図16

そういった施策の積み重ねで、このグラフは過去の一正蒲鉾さんの商品についてのユーザー調査データなんですが、「愛着度」でみると「どちらでもない」に比べて「人生に欠かせないくらい大好き」と回答した人が7.2倍年間購入量が多い、ということがわかります。一段階手前の「大好き」でも約4倍ですね。

こういう「愛着」を作っていくことが大事だと会社として取り組んでいるのが一正蒲鉾さんです。

図17

そういった背景がある一正蒲鉾さんが実施した「好き」な人を増やす施策をご紹介します。

まず直近では、おせちの体験イベントを実施しました。ライト層をファン化して、次世代におせちを伝えていくことで練り物を食べ続けてもらうことを目的として、親子でも参加できるワンプレートおせちと飾り切りのオンライン体験イベントを開催しました。

Zoom参加のユーザー6名には、商品を含む豪華な「体験キット」を送って、Zoomで参加してもらいます。同時に、100人くらいのユーザーさんには、事前に商品を届けてYouTube側でも視聴参加してもらい、その後みんなでアプリに料理を投稿して楽しんでいただくという枠組みです。

図18

イベントの内容としては、まず前半の座学で一正さんの商品についてご担当から教えていただきます。

YouTubeチャットでは、参加者から「サラダスティックはお弁当用に常備してます」とコメントが来たり、クイズのコーナーでは「伊達巻の向きはどっちが正解でしょう?」とメーカーさんから参加者に投げかけたり、体験キットで届いている商品を「みんなで試食してみましょう」とか、「今一番こだわってる商品ってこういうふうに作ってるんですよ」と伝えるいった感じです。

なかなか普段使いきれないことを座学で伝えながら、途中SnapDishの司会がYouTubeチャットの質問やコメントを紹介して、オンラインでの会話も楽しんでいただいてます。

図19

後半は体験型のコンテンツで、みんなで一緒に手を動かしていきます。

例えば、飾り切りで蝶々を作ったり、12mmに切ると一番美味しく食べれるとか、メーカーさんならではの豆知識も伝えながら、可愛く飾れるようなアレンジをみんなで作りました。

YouTubeでも、画面の向こう側で体験している方からは「門松できたよ」とチャットが来たり、Zoom参加者のお子さんも楽しく参加してるところが見えたりオンラインワークショップのようなイメージです。

Zoom参加者だけだとどうしても人数が少なくなるので、YouTube側でも体験いただけるよう、事前に商品を送ったり、体験にあると良い準備物を知らせておくことで、んなで体験を共有する仕掛けを作っています

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そうした体験づくりをするとどうなるかと言うと、YouTube参加モニターのアンケート回答を見てみましょう。

商品を体験すると、一正さんの商品を使っておせちを作りたい気持ちが高まるのは当たり前ではあるのですが、そう思った「理由」を見てみると、選択肢の中に「一正さん」という固有名詞がちゃんと入っており、練り物であれば何でもいいのではなく「一正さんの練り物で」おせちにトライしてみたいと意識されているのがポイントだと思います。

イベント自体は約1時間なのですが、生活者の皆さんは商品について1時間の説明を聞く機会ってなかなかないですよね。なので、ご担当者さんから直接、商品はどういうこだわりで作っているか、その一番おいしい食べ方、楽しみ方を丁寧に教えてもらい、かつ、参加者もメーカーの方と直接お話ができる体験をつくってあげると、こういうことが起こるわけです。

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ここまでならイメージできる範囲だと思いますが、一番のポイントとしては、データでもイベントの体験のしかたと態度変容の関係がはっきり見えています。

このグラフを見ると、どういう形でイベントに参加したかによって、態度変容の度合いが全然違ってきます。

ライブ配信での参加者は「まあまあ作りたい」「どちらでもない」と「ぜひ作りたい」のギャップがかなりあり、後からの「アーカイブ視聴」でも見た方の方が態度変容は高いんですが、差が縮まります。そして、体験を一緒にしてないと態度変容の度合いはかなり小さくなってしまいます。

オンラインで場を共有して一瞬にみんなで体験することで、より多くな態度変容を作って、推奨意向を上げて年間購買量や生涯価値を上げていけるというのが体験の作り方としてわかってきました。

今回は、一正蒲鉾さんのデータですが、基本的にスナップディッシュのイベントでは共通して、かなりはっきりこの傾向が出ています。

コロナ禍以前のイベント参加は、物理的な距離を超えるのがすごく大変でしたが、スナップディッシュのユーザー層は主婦層中心で必ずしもそのインターネットのリテラシーが高い層ではないですが、それでもライブ配信で参加した方々がかなり態度変容しています。世の中の変化に合わせて体験のしかたも変わってきたので、新しいチャンスが開けてきたいうことでもあると思います。

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最後に一正蒲鉾さんからいただいた、評価コメントをご紹介します。

もともとスナップディッシュは「食のファンが育ちやすい場」と感じていたということなんですが、「メーカーにとって直接消費者さんとつながる機会がほとんどないので食卓の様子を見られるって言うのは結構貴重だった」という点と、「コロナ前はオフラインで16名、本当に限られた人数でイベントを行っていたんですが、今回は100人の方と直接ライブで会うことができて、なかなか100人リアルで会場を用意するのは大変ですので以前はできなかったんですが、そこで商品説明会や体験してもらう場を作ることができた」、「参加した方々が他のユーザーさんに商品の良さや使い方を伝えてくれて広まっていく姿には感動しました」とご評価のコメントをいただきました。

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一正蒲鉾の宮坂さんはイベントでご登壇いただいた方なんですが、「イベントで話したことがそのままのユーザーさんの投稿にたくさん出てきた」、「お伝えした以外のレシピにも挑戦してくれた」、「各種SNSアカウントをわざわざ新しく作って投稿してくれた」、「スーパーで取り扱いがないか会社に問い合わせしてくれた」ということがあり、リアルな手応えとして、ファン、応援してくれる方々を増やすことができていると実感したということでした。

一正蒲鉾さんの社風かもしれないですが、体験づくりを丁寧におこなっていくことで一緒に盛り上げてくれるファンを育てていきたいということで、このケースですとご担当の方が直接ユーザーさんの顔を見てお伝えすることを、オンラインで幅広くできたのがポイントになったのだと思います。

 

少し話題がそれますが、「お奨めしてくれるファン」に関して言うと、実際に年間で何人にお奨めしたかというデータも、批判者、中立者、推奨者でかなり変わります。

「推奨者」では、ネット上のクチコミを除くと年間4人くらいに奨めた人の割合が多いのですが、推奨者が1人生まれると、その4倍の成果を生むと考えるとけっこうポジティブだと思います。

逆に批判者が批判的なクチコミをいうと、それを打ち消すには5人以上からの推奨が必要というデータも海外では出ているようです。

批判者を減らし推奨者を増やして、まずは推奨者自身の年間購買量を上げるということと、「コアファン層」を作ってそのまわりにもじわじわ広げていくというのは、これからの時代に効いてくる施策ではないかと思います。

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ポイントをまとめます。

1点目、一正蒲鉾さんの練り物は定番でシェア大きい食品で、グラフの階段で言うとちょっと好きになっても年間購買量はそんなに変わらないものの、すごく好きになってもらうとドンと増えるタイプ。愛着度が高まることで購買金額が7倍まで伸びいます。

2点目は、メーカーご担当者と生活者が顔を合わせて直接交流する場を作ったことでブランド理解を促進して好意的な関係が生まれました

3つ目に重要なこととして、アーカイブをただ見るだけなど一人で商品を体験するよりも、場を共有してライブ感を共有をしていくようなことで態度変容がはっきり強まることが明確になりました。

大きくこの辺りが体験づくりのポイントです。

 

【事例2】ブルドックソース株式会社 長期化するコロナ禍に見出したソースの新たな可能性
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続けて2つ目の事例です。こちらも背景から。

ソースは長年横ばいが続く状況で、家庭での常備率は高いものの、消費ペースが遅いという課題があり、これを解消する狙いで他の調味料とのコラボをスタートしました。

2021年度は味噌とのコラボで、ご家庭にある味噌とソースを1:2の分量で混ぜて万能なソースができる「万能味ソース」という施策をスタートしました。

ご家庭で、味噌はみそ汁、ソースは揚げ物と、単体だと用途が広がっていかない調味料を組み合わせて、いろんな料理に使える万能調味料に変えてしまおうという提案ですね。

ただこの2つを混ぜる食習慣がこれまで存在しなかっので、営業提案や施策をおこなうには説得力や効率の点で課題があるテーマとお聞きしていました。

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そこで、スナップディッシュで実施した施策のまずは概要から。

最初に「レシピ開発部」のメンバーを募集して座談会を行うステップ1、それからそれを広げていくステップ2の大きく2段階に分けて実施しました。

メンバーとの座談会を「ソースの日」に合わせてPRしたり、レシピ開発部メンバーのレシピを記事化してニュースアプリでを配信したり、アンケート調査結果のプレスリリースを出したりして、ユーザーの体験の様子、その声を広げていった施策になります。

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まず、初速を作るのに欠かせないのは、アンバサダー、推奨者の存在です。

「万能味ソースレシピ開発部」として、ユーザー5名に3週間かけて万能味ソースをいろいろな料理で試してもらって、その中で「これが一番おいしかった」というレシピを1品選んで、座談会で発表してもらいました。座談会ではメーカー2社さんにも再現調理したおなじ料理を試食してコメントもいただいたり、メディアさんにも試食を準備して取材していただきました。

例えば、ここに出ている「ぶり大根」とか「きのこの佃煮」とか、多い方だと3週間の間に20レシピ近くも試していただいて、万能味ソースがいろんな料理で使えるということをメンバーの方に試してもらうことが一番最初のスタート地点で、推奨者づくりの最初のステップです。

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レシピ開発部のメンバー1人1人が作ったレシピは、メーカー公式レシピとして、WEB サイトやSNSで発信していただいたり、スナップディッシュでも、「万能味ソース」を使った料理の集約ページを用意して、他のユーザーさんがレシピを見たり、継続的に会話を促す環境を整えています。

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レシピ発表の座談会がテレビ新聞で取り上げられた実績を、流通商談のネタにして売場での露出増につながるよう商談の後方支援にもご活用いただけたとのことです。最初の5人のレシピ開発部メンバーの声からここまで作っています。

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さらに、その方々の声をSnapDishでニュース記事にまとめて配信しました。メディアプロモートと合わせて、ニュースアプリでは広告でも露出を作れますのでセットで面を作っています。

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さらに、記事と並行してSnapDishやInstagramでの投稿企画を展開しました。

まだ誰もやってない食習慣を0→1で作るってとても難しいんが、最初の開発部のメンバーがけん引役となって一般の生活者にも驚きが波及していきました。「この2つが合体するとどんな味になるのか、正直ドキドキでしたがすごい美味しかった」とか「何にでも合いそう、次は何にしよう」とか。

投稿では、「何にでも合いそう」という声が多かったですね、お子さんから大人までとか、和風も洋風もなど、投稿のコメントからは幅広さを示す言葉がたくさん出てました。

あとは、「家にある」(=すぐ実践できる)というのもポイントです。買った調味料が家の冷蔵庫にしまわれて、消費されていない状態のことを「家庭内在庫」と呼んでいるのですが、それがある間は次を購入しませんので、家庭内在庫を使って料理を美味しく作れるという提案は生活者の皆さんに届きやすいと実感しました。

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いろいろなものに合わせても美味しいっていうのが第一なのですが、ユーザー投稿からもうひとつ「万能味ソース」の価値を発見することにも繋がりました。

ユーザーさん達のコメントから、いつも作っているメニューが万能味ソースのおかげでちょっと目先が変わって、マンネリ化を打破してくれるという価値が新たに見えてきました。

中には、毎回合わせて作るんじゃなくて、タッパーに作り置きして使っている方も出てきて、短期間で食卓の定番化を果たし、受け入れられていることが投稿を見てわかってきました。

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施策実施後に推奨意向を調査したところ、NPS29 、比較的高い評価が出ています。もともと家庭になかった新しい食習慣にもかかわらず、かなり好意的な評価を作ることに成功しました。

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投稿キャンペーンを実施して、評価をつくって、その声をファクトとしてニュースリリースでも露出したり、売り場や PR活動にも使って広げていったというのがSTEP2でした。

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ブルドックソース様からも、経営企画室プロモーション課の高倍様からコメントをいただいています。

最初はマルコメさんからこの企画の提案を受けた時に、味噌とソースと合わせるのが新しい食習慣だったので、生活者で発信の企画でうまくやれるイメージが持てなかったということでした。

ただ実際やってみると、まずレシピ開発部メンバーの皆さんがたくてん使ってくれて、それが美味しかったり、バラエティに富んでいたので驚いたそうです。

メンバーの皆さんが核になって推奨の声を上げてくれたことで、想像を大きく上回るコミュニケーションが生まれて、食卓で万能味ソースが受け入れられるシーンやファクトを具体的に作ることができ、 これらの声や露出をフックにすでに具体的な営業手段にもつながって、プロモーション課としてご評価をいただいているとのことです。

こうやって用途を広げていくことで、生涯消費量が向上に期待しています、というコメントをいただいています。

すでに万能味ソース以外のブランドでの取り組みもスタートしていただいて、ファン育成や商品の食卓定着に力を発揮してほしいといただいています。

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では最後に施策のポイントです。

まず1つ目として、定番商品でありながら、れまでになかった新しい食習慣、食べ方としてはまったく新しい訴求をおこなった点。

2つ目として、新しい食習慣を作るきっかけ作りはたった5人の推奨者を作って、そこからニュース化につなげられた点。

さらに、89%が「これからも料理に取り入れたい」という、生涯消費を増やすきっかけ作りに成功した点。

推奨者作りを徐々に広げていくことで、マーケットに新しい習慣をつくることができたいう事例です。

5.まとめと導入に向けて

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最後に本日のまとめです。

1人あたりの年間購買量と推奨意向の組み合わせは、ファンマーケティングのKPIとして、比較計量しやすくておすすめです。

それから、推奨意向を上げたい場合、どうしたら上がっていくのかという点では、

まず事例1、一正蒲鉾さんのケースではメーカーのご担当と生活者が交流する丁寧な体験作り、さらに、この場合はライブ参加によって態度変容を上げるという仕組みが入ってましたが、丁寧な体験作りがポイントです。

事例2では、ブルドックソースさんの少人数でも推奨者を作って、それを徐々に周りに広げていくことで推奨意向が上げることができた事例になります。推奨者との取り組みをPRやレシピコンテンツ化、商談の後押し、周辺ユーザーの巻き込みなど、さまざまに活用れているのがポイントです。

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「自社でも今日ご紹介したようなことができますか?」という疑問にお応えするメンバーして、セールス担当メンバー、奈良と堀部の2名がおります。

個別に状況をお聞きして、課題に沿った施策をプランニング、ご提案しますので、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

本日は、「食品飲料のための食卓マーケティング」基礎編ということで、なぜ今「ファンマーケティング」に取り組むべきなのかといったことを中心に、すでに実践されているメーカーさんの事例と合わせてご紹介してきました。

次回のテーマは応用編ということで、今日ご紹介した以外にも幅広くマーケティングにご活用いただいた事例を深堀りしてご紹介します。

前半:推奨意向とLTV(年間購買量)の相関データの解説はこちら>>

 

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