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【コラム】食品・飲料メーカーにとっての「ボット」「メッセンジャー」「AI」のインパクトを、現時点で整理してみる

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2016.10.06
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テクノロジー系のカンファレンスなどでは、なにやら「ボット」や「メッセンジャー」が新しい可能性がありそうだという話が多く出ているようです。

より広くは「AI(エー・アイ、人工知能)」というくくりもあります。ちょうどタイムリーにGoogleも対話型の仕組みをリリースしていますね。

食品・飲料系のテックベンチャーとして、関連しそうな新しい技術は僕らヴァズも試してみるようにしていまして、ちょっと社内でディスカッションしたので、考えをアウトプットしてみます。

 

 

「キーワード化された」課題

なにかの課題に対して、あらかじめ想定したルール・プログラムに則った「答え」を返す仕組みはこれまでも多くありました。

その最大のものが「キーワード」に対して、最適なインターネット上のサイト・ドキュメントを教えてくれるGoogleだと思います。

食品ジャンルで考えれば、「キャベツ(があるけど今日はこれでなに作ろうか)」という「キーワード化された」課題に対して、「レシピ」という回答を返す「クックパッド」になるでしょう。

「この食材でなにを作れるだろう」という課題の解決が簡単になったおかげで、どのように料理していいかわからないという苦労は劇的に改善されたと思います。

 

キーワード検索では解決しづらい課題が残っている

しかし、「キャベツ」という課題に対してキーワード検索だけで、その課題を抱えている人の状況をふまえて最適な回答を返すことはまだ難しいと思います。

いま現在クックパッドで「キャベツ」と検索すると、様々なレシピが返ってきますが、その検索結果のリストから今日作る料理を選択することは、実は簡単ではありません

いま自宅の冷蔵庫にある食材、その日に追加で買い物に行く時間や余力の有無、ここ数日の食事とかぶらないか、家族の好物や抱えるアレルギー、最近テレビやネットで見かけた流行の料理、その日の当人の気分、など非常に多くの要素を、頭のなかで瞬時に判断して選んでいるはずです。

これを「キーワード検索」という仕組みで処理しようとすると、その要素をすべて「使わない食材」「気分」などの項目を作って全ての要素を入力することになりますが、誰もとてもめんどくさくてそこまではしないでしょう。

だから、みんな仕方なく検索結果のリストから選んでいる(または、課金してとりあえず人気順に並べなおしている!)のだと思います。

(ちなみに余談ですがSnapDishはこれに対し、美味しそうな写真とコミュニケーションを活用して「あれ作ってみたいな・使ってみたいな」という動機を作るというアプローチをとっています。「なに作ろう」という課題が発生する前に、課題発生機会そのものを減らすという考え方です。)

 

「ボット」や「メッセンジャー」を使うと、キーワード検索型の問題解決がもっと賢くなるでしょうか?

これに対し「ボット」や「メッセンジャー」を使うと、なにができるでしょうか?

「キャベツでなに作ろう?」と話しかけると「こんなのがいいよ」と教えてくれるロボットがあればいいのでしょうか?

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※上記は、社内で試してみたボット。おなかすいたなどと話しかけるとトレンドの料理を教えてくれる。

 

これは率直にそれほどのインパクトを持たないのではないかと思います。

ロボットによる「こんなのがいいよ」という答えがピンポイントに正解するためには、上述したような多様な要因を考慮に入れる必要がありますが、これを上手に行う仕組みがまだないからです。

例えば、「ボット」や「メッセンジャー」に詳しく話しかけることで条件を指定することはもちろんできますが、それであればキーワード検索するのと手間も得られる結果も大差ないのではないでしょうか?

それを考えると家族との会話や、家族が残した料理、昨日見たテレビなどを自然に判断材料に加えられるようになるまでは、「ボット」や「メッセンジャー」を使ったからと言って、キーワード検索型の問題解決が劇的に改善することはないと思います。

特に、情報を入力するのにキーボードやフリックで文字を入力したり、マウスで選択肢を選んだり、という操作が必要なうちは、いちいち入力するのがめんどくさいという問題は絶対に解決しません。(これの解決を図るのが音声入力であったり、アップルのヘルスケア系の仕組みであったり、だと思います。)

では、食品・飲料メーカーにとって、どんな場面で「ボット」や「メッセンジャー」のような対話型の仕組みが活躍するでしょうか?

直近で「ボット」や「メッセンジャー」が活躍するのは、ビーコン・位置情報と組み合わせたとき

なにも消費者の頭に「なに作ろう?」と疑問・課題が思い浮かんで、わざわざ質問されるまで待たずとも、実は対話型の仕組みが活躍するタイミングがあります。

位置や行動をきっかけにした対話です。

例えば、冷蔵庫を開けた時、キッチンにはいった時、スーパーの特定の棚の前を通りがかった時、いつものコンビニをうろうろした時などがそれです。

既にECの世界では、サイト来訪や特定ページの閲覧をきっかけにして自動的に話しかけたり提案したりする「ウェブ接客」と言われるツールが普及し始めていますが、位置情報やビーコンなどと言われる仕組みを組み合わせることで、実世界でも同様のことが可能です。

スーパーの棚にビーコンを仕掛けておき、近づいてきた人の中からFacebookで自社ページに「いいね」している人だけに話しかける、LINEで友達になっている人だけに話しかける、というような施策が可能になります。

従来も位置情報と組み合わせた施策はメールやアプリなどいろいろとあったと思いますが、生活のインフラとなっているプラットフォームが「ボット」や「メッセンジャー」の仕組みを提供するからこそ、より多くの人が、より自分の文脈にあった形で、利用できるようになるのだと思います。

例えば・・

(冷蔵庫があいて数秒たったら・特定の時間にキッチンに近づいたら・帰りにスーパーによったら)

ボ)「おはようございます。使いたい食材や食べたい料理があれば話しかけてください」(またはSiriの起動音)
 :
自分)「ん・・レタス使わなきゃ・・」
 :
ボ)「レタスだと、この時期○○や○○が人気ですね。」 (←「たべみる」とか)
ボ)「こないだ△△さんが作っていた『レタスの○○』も美味しそうです」 (←SnapDishとか)
ボ)「そのほかブックマークしているのが○○などn件、最近ネットで見たのがn件見つかりましたが、スマホで見てみますか?」
 :

みたいなのだと楽しいかも・・と思いましたがこれもキーワード検索の発想を抜け出ていませんね・・。なかなか難しいです。

SnapDishと食品・飲料業界向けのボット・メッセンジャー

SnapDishは、写真と会話のデータを大量に保有しています。

キーワード検索系に最適なのはレシピデータだと思いますが、より直感的な会話・写真などのデータであれば恐らくそうそうない量を保有していると思います。(上手に活用できるかは別ですが・・)

上述のような、環境変化をふまえた食品・飲料メーカーさん向けのボット・メッセンジャーソリューションにも取り組んでいきたいと思っていますので、興味をお持ちいただけましたらぜひお問い合わせください!

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