コロナ禍のニューノーマルに対応し、新たにご提供を開始した「オンライン体験ソリューション」。この1年で食品・調味料メーカー各社様と実施を重ね、単なるオンラインイベント開催にとどまらず、他施策と連動させて相乗効果を上げるケースが増えてきました。
そこで今回は、海外生産者とつないだオンライン試食会や、オンライン体験コンテンツの店頭施策への展開など、SnapDishを幅広くご活用いただいている株式会社東京デーリーご担当者様にインタビューし、最新事例をご紹介しました。
本記事では、基調講演と事例インタビューセッションのサマリーを前後編でお届けします!
■前半【基調講演】テーマ:食品・調味量の熱量高いファンを育てる「体験づくり」とは? はこちら!
後半:事例インタビューセッション
■ゲストスピーカー
株式会社東京デーリー マーケティング本部 大園 加恵 氏
2015年に株式会社東京デーリー入社。マーケティング本部にて商品開発やプロモーション企画等を担当。
株式会社東京デーリー
ナチュラルチーズの輸入、加工及び販売を行う。バラエティ豊富なヨーロッパ産のテーブルチーズを中心に製品化し、量販店をメインの販売チャネルとしている。「チーズチップス」「ル・ルスティックブリー」「ゴルゴンゾーラ」等の直食チーズや、調理用途でのナチュラルチーズ等幅広い商品ラインナップを提案している。
施策実施の経緯と概要
ヴァズ・阿部(以下、阿):2015年から施策を開始し、2018年からは「ブリー」施策強化をご一緒してきた。いろんな施策があると思うが、スナップディッシュ(以下、SD)を継続している理由は?
東京デーリー・大園氏(以下、大園):施策開始当初は、ナチュラルチーズは“おつまみ”として食べられていた。それ以外の料理用途でも展開したいと思っていた時に、SDを知った。料理投稿で横の広がりも見込めるため施策を始めた。実際の投稿では、自社では考えられないようなアレンジもたくさん出てきた。店頭POPやレシピ集に画像を二次利用できるため、ずっと続けている。
阿:そんな中、「ル・ルスティックブリー」の施策を3年続けているが、その前は店頭の試食を重視されていたとお聞きしている。
大園:ナチュラルチーズは価格が高いため、試食して美味しさを実感して購入につなげたるためマネキン施策がメインだった。もちろんSDも同時並行でやっていた。
阿:それが、2020年にオンラインイベントを実施して、今年拡大した。その点にフォーカスしを今日はお聞きしていきたい。
全体像としては、これまでのファンをベースにして、ZoomとYouTubeを使ってオンラインでの体験づくりを実施した。加えて、店頭でも告知、見た後のSD投稿、Twitter連動のキャンペーンという組み立てだった。
阿:SDユーザーが参加して、料理家の講師、フランスのメーカーにも現地からつないで参加してもらった。全員で乾杯し、食べ方の紹介と実際に食べてみる体験づくり、調理デモンストレーションなどを実施した。
大園:昨年100名で実施して、アーカイブも見られるがライブ参加者の評価が特に高かったので、今年は300名にした。ZoomはもちろんだがYouTubeのライブチャット盛り上がり、とても驚いた。オンラインイベントの魅力を感じた。一緒にアレンジしながら「美味しいよね」「そうだね」という会話が飛び交い、ライブの双方向性、盛り上がりがすごく良いと思った。
阿:イベント後はアレンジ投稿もたくさん出て、すごく美味しそうな投稿が多く、ユーザー同士の交流も活発に生まれていた。
大園:ライブ中に、「今、食材あったから」と作ってアップしている人もいたのには驚いた(笑)
【評価①】従来のマネキン施策との比較
阿:従来のマネキン施策と比較してどうか?
大園:マネキンは食べてはもらえるが理解度が浅い。店頭で説明してレシピブックも渡すがそんなに深くまでは説明できない。その点、オンラインイベントだと作り手の想いや、合わせる食材、相性の良いお酒など、伝えたいことをたくさん伝えられ、深く理解してもらえる。そこが大きい、マネキンとは全然違う。
情報を発信するだけならいくらでもできるけど、仲間と一緒にその時間を共有して、チャットで交流してというのが大きいと思った。情報発信だけだといくらでも方法はある、このオンラインイベントは仲間と共有し、共感してもらえる、それができる仲間がいる場でこれをできることが大きい。
阿:たしかに、マネキンだと数十秒、このイベントは1時間たっぷり体験と一緒に伝えられる。以前は、リアルなイベントもされていたが、違いは?
大園:リアルだとエリアや人数が限られている。ZOOMで6名、YouTubeで300名 、アーカイブ視聴者も入れるとものすごい人数になり、日本全国から参加してもらえる点がすごく良かった。リアルとは違う良さがある。やってよかったなと本当に思う。
【評価②】2年目、継続の手応えは?
阿:継続した手応えは?
大園:ファン化した人から購買に繋がるコメントが、すごく増えた。「ブリーはル・ルスティックを買います!」のようなブランド指定でのコメントも増えた。継続することが大事だと思った。
阿:開示許可をいただいたデータを見てみると、企画参加者は、非参加者より他者推奨意向で9・10選択者が顕著に伸びている。
大園:NPS(他者推奨意向)はこれまで見てなかったが、調査結果を観て企画参加者の数値が非常に高いのを見て、やってよかったと率直に思った。
阿:年間購買金額との相関でも、推奨意向10の人の金額が7,000円を超えている。
大園:推奨意向と購買金額の相関がきれいに出て成果が出ている。イベントでしっかり理解して、みんなで交流してというのが愛着度に結びついている。
阿:なぜ薦めたいかのエピソードでは、ライブ参加者のコメントが寄与しているのがわかる。
大園:ここに出ている「美味しさの幅が広がった。無いと寂しいくらい、毎日食べたい。」と言っている人や、「YouTube参加して一緒に楽しみました。その時の食べ方が今は定番化しています」とか、ちょっとしたことだったが、ちゃんと伝えられて、それをみんなで共感してもらたのが良かった。習慣化や購買に結びついている。
阿:イベントで伝えていた品質管理にこだわっているパッケージも理解して評価されているコメントも見られて印象的だった。
【ポイント①】参加の敷居を下げるためのポイントは?
大園:昨年やってみて、60分間のアーカイブ動画を見ていただくのはハードルが高かった。今年は短尺のダイジェスト動画を作り、より多くの人が参加しやすい仕組みにして、敷居を下げることができた。
阿:4分ほどの短尺動画に編集した際は、商品の説明動画としても使えように工夫したとお聞きしている。
大園:ユーザー向けだけでなく、社内でチーズの勉強会や営業の商談資料に使えるような動画に編集してもらった。
【ポイント②】店頭やSD外との連携や、その評価は?
阿:店頭で商品シールから誘導する動画視聴キャンペーンを実施したが、この連携に対しての評価は?
大園:SDユーザーはもちろん、ブリーを実際に買ってもらっている人には絶対見てもらいたいと思って、実施した。買っている人にもっと理解を深めることが、購買頻度を上げることができるし、売上につなげるのも速い。さらにツイッターを絡めたキャンペーンで拡散にもつながってかなり広がりももてた。
途中経過を聞いている段階では数字も伸びており、去年の長尺のみに比べると断然よかった。
【ポイント③】営業や流通の巻き込みについて、やったこととその後の評価
阿:営業さん、流通さんを巻き込んだと伺った。実施したことや評価は?
大園:1年目に手応えを感じて、2年目は営業・流通を巻き込みたいと思っていた。まず、営業担当にこのイベントは売りにつなげる施策だとしっかり理解してもらい、流通さんにも参加してもらった。また、ユーザー向けイベントではあるが、流通の方々にも実際に商品を試してもらうと同時に、消費者の生の声を共有してもらいたかった。また、流通の方々が力を入れているメニュー提案の参考にしてもらう狙いもあった。この3つを実現するため、流通関係者にも参加者と同じ体験キットを送って、YouTube参加者として体験してもらった。
阿:流通からの評価は?
大園:参加した流通の方々からは総じて高い評価をいただけた。知らない食べ方が勉強になった、食べ方提案や関連販売を実施したい、店頭で取り入れたいなど配架店舗の拡大につながったチェーンもある。イベントメニューをPOPにして関連販売してくれたところもあって、実績にもつながった。流通を絡めてより効果的な施策になった。
阿:それに加えて広報的な動きも絡めていて、メディアも一緒に呼んでいる。
大園:記者にも事前に声掛けをして、ライブ後は新しい取り組みとして、何紙か取り上げてもらえた。
阿:参加してもらえる流通、記者には、チャットの盛り上がりに触れてもらえるのがポジティブだったと思っているが、いかがですか?
大園:確かに盛り上がりをチャット見るだけでも面白い。「こうだったよ」と伝えるよりも、次々と出てくるチャットの生の声を見てもらえるのはよかった。
【全体①】施策全体の評価と、今後の展開
阿:施策全体として御社の中での評価は?
大園:商品に対しての理解度が一気に深まって、ファン化が進んだと考えている。これまでもモニターで交流はできていたが、それ以上がなかった。ブリーをもうちょっとどうにかしたいという思いがあった。そこにオンラインイベントが加わって理解度が深まった。それが一方的ではなく、ユーザー同士で共感して理解が深まったし、ユーザー同士の興味や親近感が沸いた実感がある。そしてなにより、出荷額も順調に伸びている。
阿:このオンラインイベントのフォーマットは、関係者に見てもらいやすい。
大園:たしかに。コロナ禍でマネキンができず、新しいことにチャレンジしてみようという社内の声の後押しで実施した。1回目、ライブを見た後すぐに電話がきて「すごいよかったよ、ブリ―食べたくなった」と社内からも反応が良かった。経営層からも有効な施策として高く評価してもらっている。
阿:その評価を踏まえ、今後は?ファンとの関係づくりで今の延長線上で進めるのと、発展的な狙いは?
大園:1回ではここまでに広がらなかった。継続することでここまでの伸びにつながった。ベースとしてこの施策は続けていきたいと思っている。
【全体②】「スナップディッシュ」という場の評価
阿:いろんな施策をされている中で、「体験・理解・交流」を作る場として、SDはぶっちゃけどうか?
大園:ナチュラルチーズはまだすごく小さい市場だが、SDという場で、ユーザーのコメントで「東京デーリー」という名前や商品名が出てくることが増えている。モニターキャンペーンだけでは、ユーザー投稿はたくさん集まる一方で活用まで至っていなかった。オンラインイベントでは発信ができて、今はいいサイクルで回っている。自社のインスタ等ももっと上手く活用していきたい。
阿:いろんなお話を聞かせていただき、ありがとうございます
【まとめ】食品・調味量の熱量高いファンを育てる「体験づくり」とは?
阿:ファン化に不可欠な「体験・理解・交流」を作ることでファン化が進む。また、東京デーリーさんのように、出てきた声を営業販促に活かしたり、ファンの声をもとにした会社の活動にうまく活用しているメーカーは、ファンづくりが会社の活動と一体化していることに強みが生まれている。
今日聞いてくださっている皆様が取り組む際に、ファン作ったけどどうするの?ではなくて、営業や取引先、社内の意思決定層を巻き込んで、など、ファンの声をあらゆる方面に活用するのが成功ポイントと考えている。
SnapDishコアファン育成強化の考え方
SDのつかいどころとしては、「体験・理解・交流」を促す場所としてファンづくりに使っていただくのが良いが、一般SNSのように「興味・親近感」を育てる場ともシームレスにつながっていくもの。例えば自社コミュニティで一番のファンとつながり、SDをその周辺のファンづくりに活用していただき、広くは一般SNSで交流していくなど、使い方は多々ある。自社コミュニティを持ちつつ、熱量の維持が大変なので側面支援にSDを組み合わせたりなど。その一環としてSDもぜひ活用いただきたい。
・・・・・・・・・・・・
いかがでしたか?
本セミナーの内容や、SDでのファンづくりについて詳しく知りたい方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。